第4回 久敬会ミニ講演会のご報告

2015年02月17日(火)更新
第4回 久敬会ミニ講演会
演題:地球生命の基本―アミノ酸・ペプチドを知ることで高血圧、糖尿病、アルツハイマー病、エイズなど難病の克服は可能
講師:木曽良明 (高16回) (長浜バイオ大学客員教授)
日時:2015年2月1日(日)14時から16時
参加者:28名
担当行事委員 辻本、根来、中西、米川

 世界的に活躍されている木曽先生には、今回の講演は国際会議での英語の講演より難しかったようだった。専門用語を使わずに、一般向けに解りやすく話してほしいとの注文に応えることは大変だったと思われる。当日は大変寒い日だったが、参加者は木曽氏と同期の方々が多く、元生物教員、薬学部出身の方々も熱心に聞いておられた。
 前半は宇宙誕生138億年、地球誕生46億年、生命誕生38億年の話から始まり、生体物質として核酸とアミノ酸・ペプチドの重要性を説明された。生理活性物質としてのペプチド(アミノ酸100個以下の連鎖)について、インスリンと糖尿病、オキシトシン、バソプレッシン、ガストリンなどのペプチドホルモンの働き、またアルツハイマーなど難病に効果があるペプチドについても述べられた。一般にカレーや赤ワインがアルツハイマー病の予防に効き目があると言われているのは学問的に本当であると説明された。
 後半は木曽先生の研究成果として、HIV(エイズウイルス)によるエイズ、アルツハイマー、マラリア、成人T細胞白血病などの難病に関係するそれぞれの酵素の阻害剤(ペプチド治療薬)の創薬について話された。特に、HIVに対する創薬の話、酵素と阻害薬の分子模型のカラー写真は大変印象的だった。(後述の説明文と写真を参照)
 難しい話であったが、ノーベル賞を目指しての世界各国の方々との研究協力などの話には、最先端の学問研究の熱気が感じられ、大変興味深いものだった。
 後の質問では、我々の大きな関心事であるアルツハイマーに有効な治療薬があるのかとの質問があり、アミロイドペプチドに対する抗体薬は治療効果があると答えられた。
 

【講師プロフィール】
 茨木小、養精中、茨木高、京大薬、京大院博士、京大薬助手、ピッツバーグ大医リサーチアソシエート、徳島大薬助教授、京都薬大教授、創薬科学フロンティア研究センター長、大学院薬学研究科長、日本ペプチド学会長、21COE拠点リーダー、第5回国際ペプチドシンポジウム会長、長浜バイオ大客員教授。日本ペプチド学会賞、Cathay Award、日本薬学会賞、Akabori Memorial Award。



【HIVに対する創薬】  
 HIV感染細胞の中で、前駆たんぱく質からウイルスの酵素と構造たんぱく質を生成し、感染性ウイルスへと導くHIVプロテアーゼを阻害することは、エイズの有効な治療法となる。
 HIVプロテアーゼ阻害剤は、Phe-ProというHIVプロテアーゼに特徴的な切断部位に着目することにより、高い選択性を持ち、副作用の少ない抗HIV薬のデザインも可能になると考えられた。
 KNI-272は細胞膜透過性が良好なことより、腸管からの吸収が優れており、経口投与も可能である。さらに化学構造も簡単なトリペプチド誘導体であることから化学合成も容易で、大量の供給が可能である。
psfuku
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