第2回 久敬会ミニ講演会のご報告

2015年01月08日(木)更新
第2回  久敬会ミニ講演会

演題:介護保険制度を知ろう~望む暮らしの実現のために~
講師:山本京美 (高36回)  (介護福祉士、主任介護専門員)
日時:2014年11月30日(日)14時から16時
参加:18名
担当行事委員:辻本、安田、中西

 当日の参加予定者(申込者)は31名であったが、その日JR吹田駅での事故のため正午頃から大阪京都間の電車が不通となった。このため参加を断念された方もあって、出席者は少なかった。この講演については関心が深く、それぞれ自分自身のこととして、また親のことを考えて熱心に聞いておられた。講演の後の質問では、現在切実に悩んでおられる方がアドバイスを求められたのに対し、ご講師の丁寧な説明を皆、自身の問題のようにじっくり聞いておられた。
 山本氏には、介護保険制度について、現場から生きた情報とともに、すぐ役立つ知識についてお話しいただいた。
①介護度がどのように決定するのか。
  申請と認定のための調査項目
  ・麻痺等の有無 ・関節可動域の制限 ・座位保持 ・両足での立位 等々
②どのようなサービスが利用できるのか
  ・居宅サービス ・施設サービス ・地域密着サービス
③老後の位場所にはどのようなところがあるのか
  ・施設で安心して暮らす ・自宅で最期まで過ごす ・子供に迷惑をかけない
④ケアマネは何をしてくれる人なのか
  ・利用者の代弁 ・リスクと可能性を専門職として示す
 これらのことを知っているかいないかで、将来の自分たちの人生が大きく変わると実感した。当日参加できなかった皆さまにも、是非、資料にお目通しいただきたいと思う。
 
   
 
【講師プロフィール】
 ノートルダム女子大学文学部英語英文学科卒業。2001年ホームヘルパー2級講座受講をきっかけに高槻市社会福祉事業団に勤務。介護福祉士、介護支援専門員資格取得。大阪府社会福祉協議会事業のコミュニティーソーシャルワーカーとしても活動。現在は社会福祉法人成光苑高槻けやきの郷居宅介護支援事業所で主任介護支援専門員として勤務。
 
【講演内容】
 以下の文はご講師からいただきました。スライドは主なもののみ掲載します。
介護保険制度を知ろう~望む暮らしの実現のために~

 2013年には65歳以上の人口が総人口の25%を超え、超高齢化社会がすすんでいきます。その中で介護保険制度はスタートして15年目を迎えています。誰しも望んで要介護状態になりたいとは考えません。しかし、脳血管性疾患や廃用症候群(体を使わないことによって起こる機能低下)などのために要介護状態になることが避けられない場合があります。そのようなとき、より自立に近づく生活ができるようにするために、介護保険制度を利用することができます。また介護保険法第4条の中には「要介護状態になった場合においても、進んでリハビリテーションサービスや福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるようにする」と国民の努力及び義務が書かれています。より自立した生活がおくれるように介護保険制度を上手に利用してください。
 
①介護度の決定方法
 申請制です。保険者(市)に申請することで介護認定がされます。申請は包括支援セン
ターや居宅介護支援事業所などに相談することができます。代理申請をしてもらうことも可能です。申請できるのは、第一号被保険者(65歳以上の方)と第二号被保険者(40歳以上65歳未満で特定疾病が原因で日常生活に介護や支援が必要な方)です。申請後には、ご自宅に調査員が訪問し、全国共通の認定調査が実施されます。調査をうけるときのポイントは、「介護の手間がどれだけかかっているのか」「日常生活で困っていることはどのようなことなのか」をより具体的に調査員に伝えることです。調査された内容はコンピューターによる一次判定が行われます。その後、認定審査会が開かれ、調査時に伝えられた細かな日常生活の情報や主治医の医学的観点からの意見書を元に最終的な介護度が決定されます。自立、要支援1、要支援2、介護1~介護5まで8段階に分かれます。それぞれの介護度に応じ、1ヶ月に使える保険の量が決まります。
 
②使えるサービス
 居宅介護サービス、地域密着サービス(市内に住民票のある人のみ使えるサービス)が
あります。在宅でのサービスが継続して行えるように、必要なサービスを組み合わせて使うことができます。たとえば、デイサービスでは日帰りで入浴や機能訓練をうけることができます。住宅改修では手すりや段差解消等を行えます。泊まりサービスでは家族に代わって、ご本人様の身の回りの世話を日中、夜間帯とおして行います。
 介護保険では「レスパイトケア」が認められています。介護者は、適度に介護から解放される時間をもつことが必要です。介護者が、心身ともに健全な状態でないと在宅での介護は続きません。ショートステイやデイサービスなどを上手に併用することで、住み慣れた自宅での生活を継続することも可能になります。特に認知症の方の介護の場合、介護者のストレス状態は、本人に悪影響を及ぼす場合があります。介護者が元気でいれば、本人の気持ちに寄り添った介護ができ、ご本人の病状も安定し、介護がより楽になり好循環も生まれます。
 
③施設サービス
 特別養護老人ホーム、老人保健施設などのほかに最近は、サービス付き高齢者住宅や住
宅型有料老人ホーム等、多種の施設サービスができています。施設サービスの中でも、特別養護老人ホームなど介護保険の施設では収入に応じ、減額制度があります。具体的には、世帯全員が住民税非課税の方は、食費、部屋代が減額されます。

④ケアマネの業務
 申請、サービス調整、課題分析、保険請求、医療との連絡調整など行います。覚えてお
いていただきたいのは、ケアマネはご利用者が選ぶことができます。交代を申し出ることもできます。ご自身がどのように暮らしていきたいかを、しっかりとケアマネに伝えてください。ケアマネはサービスの提案をし、またサービスを利用することによって今後どのように生活が変わるのか、可能性とリスクを説明します。しかし、決めるのはご利用者様、ご家族様です。万一介護が必要な状態になった場合には、ケアマネ、介護保険を上手に利用して望む老後を過ごせるようにしたいと思いませんか。またできることなら介護保険を使わずに、元気な老後を迎えられるように、適度な運動を心がけてください。「心臓に良いことは体に良い」という研究結果がでています。しっかりと介護予防につとめて、素敵な老後を目指しましょう。
 
スライド 3
スライド 7
スライド 11
スライド 13
スライド 14
 
スライド 17
スライド 18
スライド 21
psfuku
このページのトップへ