就活支援行事ご報告

2014年05月19日(月)更新
就活支援行事ご報告
日時:2014年1月25日(土)14:00~
場所:久敬会館 2F会議室
第1部 講演会「~若い会員の方へ~『可能性への挑戦!』(自己実現と就活)」
第2部 ディスカッション
第3部 懇談会
 
<はじめに>
 若手の会員向けに何かイベントができないかということで、かねてから検討していたところ、就活をテーマにした行事ならニーズがあるのではないかと考え、このたび総務委員会と行事委員会の共催という形で、就活支援行事を行うことになりました。当初、会報やホームページの告知だけではなかなか周知ができず、参加申込者がほとんどいない状況でしたが、二十歳の会やSNSを通じて広めてもらった結果、最終的に34名(内若手の参加者24名)の参加を得ることができました。
 
<第1部:講演会>
 演題:~若い会員の方へ~『可能性への挑戦!』(自己実現と就活)」
 講師:清水 勝 氏(高16回) 関西学院大学講師(キャリアコンサルタント)
 
 第一部は基調講演会として、高16回の清水 勝さんを講師にお迎えしました。清水さんは関学を卒業後安田生命に入社、営業を経て商品課長、マーケティング部次長、支社長を経験。旧安田ライフ損保(株)取締役退任後にキャリアコンサルタントの資格を得て、現在は大学講師や、企業の研修講師をされています。関西学院大学ではキャリア教育『社会の中での自分』(春学期)、『ソーシャルスキルとチームワーク演習』(秋学期)を担当。昨年までは厚生労働省の進める『ジョブ・カード』講習の講師を務められました。
 講演中には自己診断チェックシートを使った演習などもあり、参加者一同リラックスした雰囲気で行われました。
 
1. 大学生の傾向と課題
大学の数が増加し、少子化もあいまって大学全入時代を迎えている。そんな中、大学に進学する理由は「学歴が必要だから」という理由が増加傾向で、「自分のしたいことを探す」と答える学生は減少傾向である。また、就職先の希望についても「安定している」が増加している半面、「自分の能力を活かせる」という回答は減少傾向である。
授業の出席率はおおむねいいが、積極性に欠ける学生が多い、読書量が極端に少ないのも最近の傾向。

2. キャリア教育の背景
 終身雇用の崩壊など単に会社に入ればいいという時代ではなくなってきた。就職活動も早期化し、学生が十分に将来のことを考える余裕がなくなっている。企業も、かつては新人の仕事であった単純な仕事がIT化され、いきなり専門的な仕事を新人に任せることが多くなってきた。そんな中、大学も単に就職を支援するだけでなく、キャリア支援教育をするようになってきた。
 3回生のインターンシップは是非いろいろな企業を体験して欲しい。単なるアルバイトと違う。仕事の多様性を知って欲しい。
 採用にあたって企業が重視することのトップはコミュニケーション能力である。
-コミュニケーション能力の自己診断表を使って参加者で演習-
 効果的なコミュニケーションの5要素
自己概念 ②傾聴 ③明確な表現 ④感情の取り扱い ⑤自己開示

3. 自己実現と就職
 学生に希望職種を聞くと「企画」「商品開発」「広報」が多い。いずれも経験が必要な業種で、いきなり新入社員が取り組むのは難しい。希望通り配属されなかったからといってやめたりせずに取り組んで欲しい。
 30代前半まではとにかくがむしゃらに仕事に取り組んで経験を積み、30代後半から自分は何を目指すべきかゴールを見据えて取り組むのが良い。
 3年間で3割の人が離職している。転職ではなく「展」職であればいい。単にいやだからやめるのではなく、将来の発展につながる「展」職であるべき。
 会社選びのポイントとして経営内容や労働条件など色々あるが、やはり「縁」の要素も大きい。最終的には色々企業研究した上で、自己の価値観にあった企業を選ぶこと。

4. 企業は可能性(ポテンシャル)を求めている
 企業は即戦力よりも潜在可能性(ポテンシャル)を求めている。学生時代には一朝一夕には身につかない能力を得て欲しい。答えを「探す力」ではなく、答えの「見つけ方」を、「調べる」ではなく、「考える」力を身につけて欲しい。
1) 若い人は元気が一番、挨拶をしっかりしよう。
2) わからないことは何でも質問しよう。
3) 先輩がやりたがらない仕事にも積極的にチャレンジしよう。
  ※落とされてもたまたまその企業が求めていた人材とマッチしなかっただけ。就職活動の時期は自分が成長する時期、気にせずに就職活動を楽しんで欲しい。
 
 
<第2部:ディスカッション>
 講師:清水  勝 氏(高16回) 第1部講師
    柴田  仁 氏(高22回) 大幸薬品㈱代表取締役会長
    矢延 隆生 氏(高35回)㈱フジテレビジョン人事部長
 
 第二部では講師の方々から就活生に対して簡単なアドバイスをいただき、参加者からの様々な質問に対して受け答えする形で進めました。
 
1. 柴田 仁 氏(高22回)
【プロフィール】
大学卒業後日本IBMに就職、その後大幸薬品に入社、代表取締役社長を経て現在代表取締役会長、近畿大阪銀行の社外取締役も務める。
 
就職は結婚と同じように真剣に考えて、久敬会のネットワークも生かして先輩の声を聴いて決めて欲しい。
上場企業は株主責任もあるのでしっかりしていて安定しているが、反面中では競争が厳しい。就職を決める際は、その会社が世界に対してどんな使命を持っているか。その中で自分に何ができるかが大事。そのためには自分のやりたいことが何かを見つけることが大切。採用する側から見れば、その人と一緒に働いて夢が実現できるかという視点で人を採用する。
 
2. 矢延 隆生 氏 (高35回)
【プロフィール】
   大学卒業後東京海上に入社、営業、広報を経験後フジテレビジョンに転職。スポーツ局で番組制作を担当。北京オリンピックのプロディーサーを担当した後人事部に異動、現在人事部長。
 
   就職活動の時期は、自分の人生今まで何をしてきたのかを見直す時期。自分は何をしたいのだろうかを考えて自分の言葉でエントリーシートに書いたり面接で話をしたりすると相手に伝わる。借りてきた言葉は人には伝わらない。自分のしたいことと一致しない会社にたまたま受かって就職しても、入ってから苦労する。
   ただ、あまり将来をはっきり決めすぎると配属された部署が希望と違って気落ちしてしまう人がいる。最初は目の前の仕事をがむしゃらにこなしていれば、いつかは自分がやりたいことができる立場になれる。
 
3. 質疑応答
Q:茨高での経験が今でも生きていると思うことはありますか。
A:①大阪の場合は大学名より高校のネームバリューが高いことが多かった。また同級生と話をするとストレス発散になるので同級生は大事にしたい。
 ②文武両道の伝統があり、クラブも行事も勉強もしっかりできるところが良かった。
 ③体育祭の団結力が印象に残っている。川端康成、大宅壮一の学校というと皆わかってくれる。
 
Q:テレビ局志望です。今後インターンシップを重視していくと清水さんのお話にもありましたが、現状はどうでしょうか。
A:2016年度の採用から説明会が3年生の3月から、採用活動は4年生の8月からとなる。フジテレビに限っていえばインターンシップは現在やっていないが就業体験の募集はしている。ただ、今後どうしていくかは未定。各社の動向を見ながら決めていく。
 
Q(司会より):インターン活動を経験した人で何か経験を話せる人はいますか。
A:①現在ベンチャー企業で就活しながらインターン体験中です。ベンチャーのいいところは大手と違って色々な仕事をさせてもらえるところがいいです。
 ②今2回生ですが、地方のテレビ局で夏にインターン体験しました。制作会社の仕事も経験できました。
 ③計4社インターンに参加しました。自分の興味のない業界のインターンを体験するのもいい。視野が広がるし、自分が行きたい業界の良さを改めて再認識できる。面接でも自分の志望を相手に納得感を持って伝えることができる。
 
Q:現在就活中です。色々な業界と関わる仕事がしたくて、広告業界、商社に興味があります。そういう色々な業界と関わる会社では、様々な知識を働きながら身に付けないといけないと思いますが、皆さんどんな工夫をされていますか。
A:①社内論文の公募などがあり、積極的に応募するようにしていた。仕事に余裕のある時には、大学の社会人講座などに参加していた。
 ②その会社のビジネスモデルを常に考える習慣をつけておくと、事業環境や仕事の環境が変わった時も対応しやすい。
 ③何を勉強しておけばいいですかとよく聞かれるが、入社前は何でもいいから色々な経験をしなさいと答えている。入社後は、プロにならないといけない。仕事はすべて教えてくれるわけではなく、自分から盗みにいかないといけない面もある。自分の置かれた状況に対してプロになろうと思えばおのずとその方面の勉強をすることになる。知識でも人間関係でも何か一つ武器になるものが持てればベスト。
 ④学生時代には学生時代にしかできないことを経験して欲しい。仕事の知識については会社に入ってからでも十分間に合う。
 
Q(司会より):最近はエントリーシートを書かせる企業が大半かと思いますが、こんなことが書いてあれば「×」といったものはありますか。
A:ネットで出回っているのか同じような答えが書いてあるものがあるが、これは論外。本に載っていたようなことを書く人もいるが、書類は複数でチェックするのでわかる。読みにくいのは伝わらない(小さな字でぎっしり書いてあるなど)。面接では、ひたすら自己PRをしゃべり続ける人がいるが、質問のタイミングがつかめない。面接官が聞いてきそうなキーワードを織り込みながら会話のキャッチボールを楽しむぐらいがいい。
  また、何かを調べる時に最近はすぐネットで調べる傾向にあるが、それで終わってしまい、想像力が働かない。辞書を引くとその周りのことが書いてあり、周辺から色々その言葉の使い方について想像をめぐらすことができる。最近はネットの影響なのか、すぐ結論を出したがる傾向が大きいが、「考える力」をもっと身に付けて欲しい。
 
Q(司会より):ネットといえば、最近模範解答がネットで出回っているのか、面接官の質問に対して同じ日に3人から同じ答えを返されたという話を聞いたことがある。
A:①みんなの就職活動というサイトがある。どこの会社の何番のブースにこんな面接官がいたといった情報が流れているので注意している。次の日には課題を変えたりすることもある。
 ②参考書に頼るのもいいが、素の力(自分のもの)を出せと学生には伝えている。自信を持って自分のありのままを出すことに説得力がある。面接官はプロなのでどこかから持ってきたものはすぐわかる。ありのままを出した結果、その企業が採用しないのであれば、それはそれでいい。その企業と自分とが合わなかっただけの話。
 ③想定される優良な回答など求めていない。回答は個々に違った方がいい。
 ④近頃面接で聞かれる質問に、最近の挫折体験は何ですかといった質問がある。挫折がないのは魅力がない。挫折をしてそれをどう乗り越えたかが知りたいポイント。こういったことは自分の経験がないと話せない。
 ⑤海外で日本人留学生対象に面接をすることもあるが、色々な会社の就業体験をした、アルバイト、サークル、ボランティア等色々書いてあって見た目はすごいが、結局何をしたいのかがわからないことも多い。色々な経験は重要だが、自分が何をしたいかということを持っていることが大切。
 
Q(司会より):最近SNSを活用している企業も多いと聞きますがいかがでしょうか。
A:ツイッター、Facebookは活用している。学生にとってはパソコンよりもスマホを使ったSNSの方が身近なので情報発信ツールとして活用している。登録した学生に情報を送っている。
 
Q:現在すごく小さな企業でインターン体験をしていて、そこで今後も働きたいと思っていますが、ベンチャー企業で、社員が4名ということで不安もある。企業の規模について何かアドバイスいただけないでしょうか。
A:①規模についてはいいか悪いかは全くアドバイスできない。自分で決めるしかない。その企業が今後どうなっていくかなど、変化の激しい昨今全く予想できない。アドバイスにならなくて申し訳ないが、自分が判断したことが一番いいこと。
 ②その人数なら創業者の一人として成功するかしないかということ。ビジネスモデルが良くて、社会に必要とされる仕事で、世の中の役に立つという確信がないと心配ではある。成功する確率は低い(あくまで一般的な確立だが)が、投資してくれる人、財務や法務のプロがいて、もし成功すればそれは最高。成功する確率のある環境にあるかどうかということは自分で判断しないといけない。
 ③私も東京海上からフジテレビに転職しましたが、以前の会社は福利厚生もしっかりしていて、社宅もあったが、当時のフジテレビは上場もしておらず、従業員も東京海上の10分の1ぐらいで社宅もないし本当にいいのと言われたが、仕事としてテレビがやりたかったので気にしなかった。ベンチャーの仕事が自分のやりたい仕事で、大企業の中で枠にはまるのでなく、ベンチャー企業を大きくする野心があるのかということ。生活を大事にしたいならある程度保障された所に行くべきだが、ライフスタイルの中で何を優先するかということ。
 ④(会場より)世間的にはベンチャーといわれる会社で働いています。単に規模だけを見てベンチャーととらえては欲しくない。成長している業界の中でニッチな部分をビジネスにしているのがベンチャーで、サイバーエージェントなど大手ベンチャーと呼ばれる企業もある。今のお話だとアーリーベンチャーに該当する会社だと思うが、ベンチャーの良いところは人間力がつくこと。小さな会社であっても自分が成長できれば、たとえその会社がなくなってもそのキャリアを生かして次のステップに進める。大手に入ってもし3年後にその会社がつぶれた時どうなるか。私は自分の力をつけたいと思って今の会社を選んだ。
 
Q:働いて3年目の公務員です。色々な場面で判断に迷う場面(転職するかしないかもしかり)があると思いますが、そういう場面でどんなことを大切にしていましたか。
A:①転職するときは親には反対された。これをやろうと思ったから突き進んだだけ。仕事の上で、やめようとか、この部署を出ようと思ったことは何度もある。嫌な上司がいてモチベーションが落ちているとか。ただ、モチベーションは自分で作るもの。仕事の中に何かしら前向きな意味を見出すとか、仕事以外で自分の良さを認めてくれる人を見つけるとかしてモチベーションを上げることに努めた。
 ②同じ仕事でも従業員ではなくプロ意識をもって取り組むことがモチベーションを上げることにつながる。それが維持できるならその道を極めればいいと思う。そうではないなら違う道に向かうこともいいが、経済的な自立は絶対条件。仕事が限られた資源の中で成果を上げる必要があるのと同様に、自分が人生の生き甲斐を達成するのも収入と支出のバランスが大事。それを全く考えずに早まって転職するのはダメだと思う。
 ③7割論というのがあり、ある会社から転職すると能力のない人は10の収入が7になる。そこからさらに転職すると当初の半分ぐらいになってしまう。最近では応募の秘密は守ってくれるので、転職するならまず転職先を確保して経済的なベースを押さえてからにすべき。サラリーマンをやっていたら1回や2回はやめようと思う時はある。それはそれだけ真剣に仕事をしている証でもある。


<第3部:懇談会>
 第3部はお茶とお菓子をつまみながら、講師、参加者を交えて、自由に話の出来る場を提供しました。あちらこちらで話の輪ができ、参加者一同本音で話が聞けたようで満足して帰っていただきました。
 
<総括>
 当日記入いただいたアンケートの結果、全体評価でほぼ90%の方に満足いただきました。また、95%の方から来年もぜひ続けるべきとの声をいただき、総務委員会としても今回の声を活かしながら、もう一段レベルアップした企画を開催できるよう考えたいと思います。

(担当:総務委員会 井内 健)
 
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