◆川端康成と岸惠子◆
 女優の岸惠子さんが日本経済新聞の「私の履歴」を5月1日から31日まで30回に渡って連載執筆されています。
 岸惠子は女優にデビューした高校3時、短編小説書いており、川端康成と面会していて、フランスでの結婚式では偶然出会った川端に仲人をしてもらっています。
 そのエピソードは「私の履歴書」の⑧⑯⑰に記載されています。

 
 記事の抜粋を以下に紹介します。
 
 岸恵子という日本を代表する映画女優を今の若い人たちはどの程度ご存じだろうか? 1932年生まれなので現在88歳。写真の通り驚くほど若々しい。
 彼女が21歳の時に佐田啓二と主演した「君の名は」三部作が大ヒット。
映画会社の松竹はこのおかげで本社ビルを建てることが出来た位であった。
岸恵子が演じた氏家真知子のスカーフの巻き方は「真知子巻き」と呼ばれ日本中の女性が真似たと言われる。
一躍、大スターとなった彼女の回りには人が群がり波ができ、ロケは度々中断しないと前に進めないようになった。
 
 その岸恵子が実は川端康成の小説を耽読していて、しかも彼女が高校三年生の時に川端康成と面会していたのだ。
岸恵子の従姉妹の夫に若槻繁という人がいた。この人は川端康成の愛弟子で雑誌「ひまわり」の編集局長をしていた。若槻は岸が書いた短編小説を読んで「恵子ちゃんは女優になるより作家になった方がいい」と言い出し、川端康成の定宿である東京・四谷の料亭旅館「福田屋」に連れて行った。
 
 その時の印象を岸恵子は次のように述べている。
「私は身分違いの雰囲気におののき、湖のように深い大作家の目に見つめられて手から桜茶を落とした。畳にこぼれた桜茶をワンピースで拭きながら、自分のつたない小説を座布団の下に滑り込ませて恥じ入っていた。そんな私を大作家はじっと見ていらした。(物書きはああいう目をしていなければダメなんだ)
料亭を出て歩く私の脚に桜茶でびしょびしょにぬれたスカートがまとわりついた。」
 
 当時の娯楽の王様だった映画は制作し封切ると、すべてが観客動員できた。
岸恵子は同時に二本も三本も撮影する日々が続いていた。
 その中で特筆すべきは1956年に制作された日本とフランスの合作映画「忘れえぬ慕情」である。
これを機会に監督のイヴ・シァンピと岸恵子が結婚することになったのだから。
 イヴ・シァンピは若い軍医でもあったが、第二次世界大戦当時、ヒトラー邸炎上からナチス占領下にあったシャンゼリゼ大通りをド・ゴール将軍が凱旋するまでを16ミリカメラで撮影し、そのドキュメンタリーが世界的ヒットとなっていた。
 ある撮影休みの日、イヴ・シャンピは長崎の高級料亭に岸恵子を誘った。
その席でのイヴ・シャンピのプロポーズの言葉がしゃれている。
「あなたには好奇心がある。日本も素晴らしいけど、地球上には色々な国があり、生き方がある。僕が招待するからヨーロッパやアフリカを一緒に見てみませんか」
複雑な顔の岸恵子にシャンピは笑って言った。
「卵を割らなければオムレツは作れない、という諺がある。色々な国を見て、それでもやっぱり日本がいいと思ったら帰ってくればいい」
「そんなことしていいの」と問う岸に、「あなたは自由なんだ。阻むものがいるとしたら、それはあなた自身だけだ」と答えるシャンピ。
そして岸恵子は恋に落ちた。
 
 川端康成原作の「雪国」が岸恵子の「それまでの私」への決別の映画と決めていた。女優としての私、祖国、両親、愛してきたすべてのものへの決別。
「雪国」出演が決まった時、イヴ・シャンピに電報を打った。
「1957年5月1日にパリのあなたの元に行きます」
 
 パリに到着した3日後に迫った結婚式には日本と同じように仲人が必要だった。文化大使として評判の高かった某氏に依頼したが「あなたは君の名はとやらでスターになったと聞きましたが、私にも立場がある。仲人はできません」と断られてしまう。
 傷心のままで面談室を出ると、なんと川端康成が目の前のソファーに座っているではないか。川端はそのままシャンピ家まで来てくれ「仲人?私がやりますよ」と快諾してくれた。
 川端康成はパリで開かれた国際ペンクラブ世界大会に出席するため、日本会長として公式訪問していたのだ。
 シャンピ家で昼食となった。
給仕長が銀皿から白アスパラガスを優雅に配る。岸恵子はナイフを使ってはいけないものが3つあると聞いていた。サラダ菜、スパゲッティ、アスパラガス。
それじゃどうやって食べるのと内心思っていると、川端康成は細い指で白アスパラガスをヒョイとつまみ、ベシャメルソースに浸してパクリと食べた。
素敵だと思っていると「今、アスパラが旬ですね。とても美味しい。」と言いながら、岸の目をじっと見る。
「四谷の宿で座布団に隠した小説を見せてください。」
「あれは・・・・捨てました」
「嘘でしょう」
嘘だった。小説の題名は「梯子段」。今も手元にある。
  (日本経済新聞「私の履歴書―岸恵子―」より抜粋)
幹事の皆様へ                  2020年 7月6日

幹事会は書面で開催することになりました。
「幹事会資料」および「回答書」を閲覧していただけます。
幹事会資料(PDF形式)→クリック
回答書(word形式)→クリック
  • 閲覧には郵送した書類に記載したパスワードが必要です。
  • 「幹事会資料」および「回答書」は郵送でお送りした内容と同じです。
    ただし、各委員の方には郵送に替えてメールでお送りしています。
  • なお、茨木高校は6月15日から通常授業が再開されています。
コロナウイルスに伴う久敬会館からのお知らせ         5月26日更新
 国の緊急事態宣言の解除を受けて検討した結果、
一般会員の久敬会館の利用を5月27日(水)から再開しています。
 「三密」に注意してのご利用をお願いします。
久敬会館事務局の業務は通常通り再開しています。
 ご不便をおかけしますがご了承のほどお願い申し上げます。
「幹事会の開催時期や開催方法」について現在検討中です。
 幹事さんには、決まり次第連絡しますのでもうしばらくで待ちください。
なお、茨木高校は6月1日から毎日の登校が再開されるようです。
第2回久敬会ミニ講演会中止のお知らせ

 2020年1月11日(土)に予定されています以下の第2回久敬会ミニ講演会は、講師が昨日インフルエンザA型に罹患されたことが分かりましたので中止とさせていただきます。
 講演を楽しみにされていた多くの参加予定者の方には大変申し訳ありませんが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。
 
日時:2020年1月11日(土) 14:00~16:00
会場:久敬会館
演題:「宝塚歌劇の組織、105年の歴史、初日までの流れや裏話」
講師:太田 健 (高40回)(宝塚歌劇団所属の音楽家・編曲家)
◆第2回久敬会ミニ講演会募集停止のお知らせ◆
 2020年1月11日(土)に予定されています以下の第2回久敬会ミニ講演会に想定を超える多くの申込をいただきました。これ以上増えますと講演を座って聴いていただけなくなる事態になるため、申し訳ありませんが今後の申込受付はひとまず停止させていただきます。
 キャンセル待ちをしてでも希望されるという場合はその旨お伝えください。そういう事情ですので、すでに申込をされた方の中で都合が悪くなられた方がおられましたら、分かり次第ご連絡いただけると幸いです。
 申込受付締切日までまだ日にちを残している中での今回の対応、誠に申し訳ありませんが事情をご賢察の上ご理解よろしくお願いいたします。
 
日時:2020年1月11日(土) 14:00~16:00
会場:久敬会館
演題:「宝塚歌劇の組織、105年の歴史、初日までの流れや裏話」
講師:太田 健 (高40回)(宝塚歌劇団所属の音楽家・編曲家)
◆「久敬会ハイキング」まもなく定員に達します◆
 
岩尾根と紅葉をたのしむ、宝塚・中山連山ハイキング」(11月16日(土)実施)
 
現在の申込者は26名です。
申込締め切り日は10月31日(木)ですが、定員30名になり次第締め切ります
「久敬会ハイキング実施要項」を確認して申し込んでください。
  • 久敬会ホームページの「久敬会行事案内」に掲載しています。
  • こちらをクリックしてご覧になれます。→クリック
≪特殊詐欺に注意≫
 茨木警察署の方が特殊詐欺の注意喚起に久敬会館に来られました。最近も60代後半の久敬会員が被害を受けられています。犯人は、警察官、銀行員、裁判所関係者などと名乗る人物を登場させ、巧みな手口でだましています。会員の情報を久敬会名簿等でよく調べて、だます筋書きを作っています。
 会員の皆さまには名簿の活用や保管に十分に注意して下さい。
※最近の事例の一部をPDFで紹介します。 警察官編名義貸しトラブル編
※大阪府警察のHPも参考にしてください。
 https://www.police.pref.osaka.lg.jp/seikatsu/tokusyusagi/6646.html
 
◆【川端康成のふるさと茨木】が放送されます◆
 
 J:COMチャンネルで6/15(土)~6/30(日)の期間のほぼ毎日放送されます。
 シリーズ「時空の旅人~関西見聞録~」の23分番組です。放送時間は番組表で確かめてご覧下さい。2週間同じ内容です。
 川端康成は両親を亡くして3歳で祖父に引き取られてから18歳で茨木中学を卒業するまで、茨木で過ごしています。
「川端康成文学館」などを取材し、茨木高校にある「以文会友」碑も登場するようです。
 最後の写真は大阪天満宮表門の近くにある「川端康成生誕地之碑」です。
 
茨木高校にある「以文会友碑」 川端康成文学館
祖父の家があった茨木市宿久庄  「川端康成生誕之地」碑
◆映画『葬式の名人』の公開日決定◆
 川端康成の小説をモチーフにオール茨木ロケで撮影された映画『葬式の名人』の公開日などが発表されました。
 イオンシネマ茨木で8月16日先行公開さます。全国公開は9月20日。
 ほとんどを校内で撮影しただけあって茨高満載です。駅前の商店街や銀座通りのたこ焼き屋さんなど身近な光景です。
 予告内に出てくる援団は2017年体育祭の援団優勝の黒色D団だそうです。
 


 
詳しくは公式HPをごらんください。 http://soushikinomeijin.com/
予告動画も公開されています。       https://youtu.be/uIe3hrTAbpE
◆映画『葬式の名人』の撮影を終えて◆
茨木市が昨年11月発行した『イバイチ』に3人のキーマンが映画『葬式の名人』の撮影を終えて語っています。
 写真右から脚本・大野裕之さん(高45回)、監督・樋口尚文さん、福岡洋一市長です。










◆高碕達之助パネル展のご案内◆

高碕達之助(中3回)のパネル展示が以下の日時・場所で開催されます。
 
  • 日時:平成31年2月24日(日)10:00~15:00
  • 場所:高槻市役所総合センター 1Fロビー
  • 主催:高碕達之助に学ぶ会・NPO法人高槻名誉市民を語り継ぐ会
 
 9:30からの開催セレモニーには大木令司(高3回)久敬会顧問(元久敬会会長)も出席されます。
 詳細は以下の画像をクリックして確認してください。
 
  • なお、昨年11月に実施した久敬会イベント「高碕記念館見学」の報告は、このホームページの「久敬会行事報告」からご覧いただけます。
    https://www.kyuukeikai.jp/?p=450
  • また、高碕達之助(中3回)は、茨木高校120周年記念展示の著名な卒業生でコーナーで紹介しました。このホームページの「周年記念行事」からご覧いただけます。
    https://www.kyuukeikai.jp/?p=245#more-245
  茨木市施行70周年記念シンポジウム
『文化探訪 川端康成とふるさと茨木』 のご紹介
 
  • 日時:平成30年11月25日(日)13:30開演
  • 場所:クリエイトセンター センターホール
  • 主催:茨木市 企画運営:茨木市観光協会
  • 申込:茨木市観光協会 11月20日(火)締め切り
    茨木市観光協会の応募フォームからの送信、または、応募用紙でFAX。
    http://www.ibaraki-kankou.or.jp/event/furusato/index.html 
 ディスカッションでは、茨木高校生徒、家庭科教諭 入交亨子 氏が参加されます。
 
 基調講演2の講師 宮﨑尚子 氏は、川端康成研究で学校・久敬会館に何度もお越しになっています。また、久敬会報69(2015年発行)の19ページに特別寄稿『川端康成の恩師「倉崎仁一郎」と生徒葬の秘話』を投稿いただいています。
 特別寄稿はこのホームページの「久敬会バックナンバー」からご覧いただけます。
 

新着情報

久敬会事務局 TEL:072-624-1545
FAX:072-648-7124
E-mail:
住所変更等は、コチラ
開館時間:9時30分~16時(12時~12時30分を除く)
(土・日曜日及び祝日は原則休み、又、お盆休暇、年末年始休暇、それに高校入試日の3月中旬の1週間程度)
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